馬肉は犬にどんな効果があるのか?ベテラン動物看護士が詳しく解説します

愛犬の健康のために、食事選びはとても大切ですよね。
手作り食の食材としても、トッピングやおやつにも使われる馬肉は、犬にはどのような効果が期待できるのでしょうか?
この記事では、
- 馬肉の栄養には犬にどんな効果あるのか
- 馬肉の与え方と注意点
- 馬肉を使ったおすすめレシピ
について、ベテラン動物看護士である私が解説しています。
また、愛犬のための手作り馬肉レシピも紹介しているので、ぜひ最後まで読んでくださいね。

みき(動物看護師)
動物病院の看護師として、獣医師のサポートをする九州在住の主婦!
現在は2匹のおばあちゃん猫たちと一緒に楽しく暮らしています♪
これまでに、ヨーキー、パピヨン、ゴールデンなど飼っていた経験があるので、これまでの体験談がみなさんのお役に立てたら嬉しいです。
犬も猫も大好きな私。今では愛猫に手作りごはんを作ってあげるのが密かな楽しみに(笑)
動物看護師としての意見も交えながら発信していきますので、どうぞよろしくお願いします。
この記事に書いてあること
馬肉は犬にどんな効果があるの?

馬肉はもともと食用のための家畜ではありません。
そのため、牛や豚などのお肉類とは違った栄養素が含まれていて、脂肪分も少なくとってもヘルシーです。
そんな馬肉の栄養素の特徴から、愛犬にどんな効果が期待できるのか、どんなワンちゃんにおすすめなのか解説します。
愛犬の健康のために!馬肉の豊富な栄養とその効果

馬肉はとても栄養価の高い食材です。
人間だけでなくワンちゃんにも、たくさんの健康効果が期待できますので、詳しくみていきましょう。
馬肉が持つ栄養的な特徴と栄養効果はこのような感じですよ。
◯高タンパク質
筋肉だけでなく、内臓、皮膚、被毛などの体の主要な構成成分になります。
成長期の子犬にとっては、体を作るために特に重要な栄養素ですよ。
馬肉のタンパク質はアミノ酸バランスに優れていて効率よく利用できます。
◯豊富なグリコーゲン
馬肉は牛肉や豚肉に比べて豊富なグリコーゲンを含んでいます。
グリコーゲンは動物の肝臓や筋肉に蓄えられている多糖類(ブドウ糖がたくさんつながった構造)で、運動前や疲労回復に最適な栄養素です。
血糖値を一定に保つ働きもしてくれますよ。
◯低脂肪・低カロリー
脂肪分が少ない馬肉は、太りにくいタンパク源です。
運動不足で肥満リスクがある犬や、避妊・去勢手術後の体重管理が必要なワンちゃんには、おすすめですね。
◯L-カルニチン
L-カルニチンは、脂肪酸をミトコンドリアに運び、脂肪酸はエネルギーとして利用されます。
L-カルニチンを豊富に含む馬肉は、脂肪燃焼を促進する効果があります。
◯豊富なミネラル
貧血予防やエネルギー代謝を助ける鉄分、皮膚・被毛の健康維持、免疫力向上に効果がある亜鉛、セレンが豊富です。
また、骨・歯の健康に必要なカルシウム・リンが十分摂取できますよ。
◯ビタミン類
エネルギーの代謝や神経機能の維持に重要なビタミンB群 、優れた抗酸化作用があるビタミンEはどちらも犬の健康維持に重要な栄養素です。
馬肉は、牛や豚に比べて高タンパクで低脂肪、ビタミン・ミネラルも豊富です!
鶏肉にアレルギーがあるワンちゃんのタンパク質源としてもおすすめですね。

体質改善にも効果的!馬肉の豊富な栄養がもたらすメリット

犬に馬肉を与えると、具体的にどんな効果があるのか気になりますよね。
ワンちゃんの体質や年齢によって、馬肉がおすすめかどうか、どんな効果が期待できるか解説します。
①アレルギー対策をしたい!
犬が起こすアレルギーは、牛肉、鶏肉、小麦、大豆、乳製品が多いといわれています。
馬肉はアレルギーを持つ犬にも比較的安全に与えやすい食材ですね。
②ダイエットが必要!
馬肉は高タンパクで低脂肪なだけではなく、脂肪を燃焼させてエネルギーとして利用するための栄養素が豊富です。
しっかり栄養を取りながら、効率よく脂肪を燃やしてくれますよ。
健康的にダイエットしたいワンちゃんは積極的にとりたい食材です。
③皮膚・被毛の健康維持をしたい!
馬肉は抗酸化成分であるビタミンEや不飽和脂肪酸(オメガ3、オメガ6)が豊富です。
これらの栄養素は炎症抑制作用も期待できますので、皮膚炎やアトピーなど、皮膚の健康に対処したいときにもおすすめの食材です。
④シニアのワンちゃんにも!
ビタミンEや不飽和脂肪酸(オメガ3、オメガ6)といった抗酸化成分は、他にもいろいろな健康効果があります。
シニアのワンちゃんに多い、関節炎のケアや脳の健康維持などにも効果が期待できるんですよ。
若い成犬からシニアまで、馬肉はいろいろなライフステージでその効果を発揮してくれる万能食材なんです。

【東洋医学】馬肉の薬膳効果は?

東洋医学では、馬肉は薬膳としても重宝される食材です。
薬膳や漢方には、「五性(熱、温、平、涼、寒)」や「五味(酸、苦、甘、辛、鹹)」で表す指標があり、食材の効果と関連する臓腑の指標が帰経です。
東洋医学からみたとき、馬肉の薬膳効果はこんな感じになりますね。
- 五性:寒性
- 五味:甘・酸味
- 帰経:肝・脾
肉類では珍しく、馬肉は【寒性】の性質をもっていて、体を冷やす効果があります。
熱が籠りやすい体質のワンちゃんには特におすすめの食材ですね。
熱中症が心配な暑い季節にはうってつけだね。

五味は【甘味】と【鹹味】で、関連がある臓腑は肝臓と脾臓になります。
馬肉の薬膳効果としては、体力の低下、疲労、虚弱体質の改善が期待できますよ。
また、熱を冷ます効果もあることから、筋肉や関節の腫れを改善したり、発熱時に効果があるとされています。
薬膳の効果は個々のワンちゃんの体質や状態によっても変わります。
愛犬の様子を注意して観察しながら、食事に取り入れてみてください。
実際に薬膳での治療をしたいときには、東洋医学を取り入れている動物病院で相談してくださいね。

ベテラン動物看護師が解説!馬肉の与え方と注意点

馬肉は愛犬の健康維持に効果が期待できる食材ですが、与える場合は少し注意が必要ですよ。
ベテラン動物看護師の私が、馬肉の安全な与え方と注意する点について解説します。
馬肉の健康効果を最大限発揮するために、正しい知識を持って愛犬の食事を選びましょう。
犬に安全に馬肉を与えるには?生肉・ミンチの与え方と注意点

犬に馬肉を生肉やミンチで与える場合は、特に注意が必要です。
馬肉はもともと食用として生産されてきた家畜ではありません。
食用馬肉のはじまり
熊本藩の初代藩主・加藤清正が朝鮮出兵したとき、当時の朝鮮半島は食料がなかったために仕方なく軍馬を食べたことから馬肉の食文化がはじまりました。
その後も熊本の阿蘇地域で戦後の食糧難のために馬肉を食べるようになり、飲食店等に定着したといわれています。
現在は、食用に飼育された馬の品種が馬肉として出荷されていますが、「競走馬が引退したら食用になる」「死亡した競走馬を使っている」という噂もあるほどです。
根拠のない噂ではありますが、衛生管理が行き届いている、きちんとした販売元から入手するようにしましょう。
- 信頼できる販売元から購入する
- 生食用の新鮮な馬肉を選ぶ
- 解凍は冷蔵庫で行い、常温で解凍しない
- 解凍後はすぐに使い切ること
- 初めて与える場合は少量から始めて、徐々に量を増やす
- 塊肉は飲み込める大きさに切り分けておく
- 免疫力が低下している犬や子犬、高齢犬には生肉を与えない
- 馬肉には寄生虫が感染している場合があり、犬に感染してしまうと下痢や嘔吐などの消化器症状が出ることがある
- 寄生虫の感染を予防するためには、馬肉をマイナス20℃(中心温度)で48時間以上冷凍処理する必要がある
- 生の馬肉を食べて、下痢や嘔吐などの症状が出た場合には、すぐに獣医師の診察を受けること
生肉は消化吸収もしやすく栄養豊富な食べ方ですが、食中毒のリスクがつきものです。
一度冷凍処理された新鮮な生食用の馬肉以外は絶対に与えないようにしましょう。
馬肉ジャーキーでもOK?手軽におやつであげる方法

馬肉ジャーキーはおやつとして手軽に与えられますよね。
ジャーキーは旨味が強いので、しつけのときの特別なご褒美にもおすすめですよ。
市販の馬肉ジャーキーを与える場合は、成分表示を確認して、できるだけ無添加のものを選ぶのがポイントです。
ジャーキーは馬肉を乾燥させたもの。
長期保存が可能な点もメリットよね。

栄養素が凝縮しているので、たくさん食べてしまうとカロリーの取りすぎになってしまうことがあるので注意してくださいね。
馬肉ジャーキーは歯が弱っているシニアのワンちゃんや、乳歯の生え変わり前の子犬には硬すぎるかもしれません。
そういった場合にはフリーズドライの馬肉がおすすめですよ。
加工品のおやつは、形状や添加物によっては消化が悪いものもあります。
消化できなけば、馬肉の健康効果が台無しなので、愛犬に適切なものを選んでくださいね。

手軽に栄養プラス!馬肉の缶詰やふりかけの選び方と与え方のコツ

薬膳効果を期待して馬肉をあげたい場合には、毎日あげたいですよね。
缶詰などのウェットフードは、栄養バランスを調整してある「総合栄養食」を選べば毎日の主食にすることもできます。
ただし、馬肉のウェットフードは「一般食」や「副食」といったトッピングに使う目的のウェットフードがほとんどです。
「一般食」や「副食」の場合は、ドライフードや他の「総合栄養食」のウェットフードと一緒に与えるようにしましょう。
「総合栄養食」かどうかは、フードのパッケージに記載されているから確認してみてね!

ふりかけで馬肉をトッピングする場合でも、メインのフードは総合栄養食を選んでおきましょう。
栄養バランスが調整されていますので安心して与えられますよ。
缶詰やふりかけのトッピングをする場合、メインのフードとの割合は、摂取カロリーあたり9対1がおすすめです。
栄養豊富だからって、食べさせすぎはダメだよ。

メインのフードは1日に与える量から10%引いておきましょう。
缶詰やふりかけの含有カロリーを調べて調整するか、商品のパッケージに表記されている推奨給与量の半分程度からはじめてみてくださいね。
馬肉はダイエットに最適なヘルシーな食材ですが、トッピングするときは肥満にならないように注意しながら調節してみてください。

【取り分けOK】馬肉を使った簡単手作り食レシピにチャレンジしよう!

自分で作ったものを愛犬が喜んでくれると嬉しいですよね。
ワンちゃんが食べられる栄養満点な馬肉を使った簡単手作りレシピをご紹介します。
後から味付けをすれば、人間の家族と一緒に食べることもできるよ。

今日の夕飯から少しだけ取り分けてお裾分けもいいですし、1回分ずつ冷凍保存すれば毎日与えることもできますよ。
馬肉ミンチのミートソース
材料:
- 馬肉ミンチ:100g
- トマト40g
- 好みの野菜(ニンジン、セロリ、マッシュルームなど):合わせて60g
- オリーブオイル 小さじ2
- 水分調整のための水 適量
- 犬用粉チーズふりかけ 少量
作り方:
- トマトは皮をむき、野菜はみじん切りかフードプロセッサーで刻む
- 鍋にオリーブオイルを熱し、焦げないように野菜、馬肉ミンチを入れて炒める
- 皮を向いたトマトを入れて潰しながら弱火で煮込む
- 水分が足りないときは水を足して調整する
- 野菜が手で潰せるくらいに煮込んだら完成
- 犬用粉チーズをふりかける
- 粗熱を取り、愛犬に与える
ポイント:
- 馬肉は必ず食用のものを使用
- 野菜は生のままだと消化しにくいので、細かく刻んでしっかり煮込む
- にんにく・玉ねぎは犬に中毒を起こすので使わない
- トマトの皮は消化できないのでむいておく
- 塩やコンソメなどの調味料は使わず、人間が食べるときに後入れする
- 犬チーズは好みに合わせてトッピング
- 初めて愛犬に与える際はスプーン1杯程度の少量から
大まかな栄養素:
- カロリー:208kcal
- タンパク質:20g
- 脂質:10.5g
このレシピはトッピングとして馬肉をあげたいときに最適です。
普段の食事にちょっとだけ足してあげてくださいね。
人間の家族が一緒に食べるときは、お好みの味付けをしてパスタソースにしても美味しいですよ。
まとめ

馬肉は、犬にとって優れたタンパク質源になります。
低脂肪・低カロリーですが、豊富な栄養を摂ることができ、アレルギーのリスクも比較的低いなど多くのメリットが期待できる食材でした。
- 馬肉の栄養には犬にどんな効果あるのか
- 高タンパクで低脂肪、エネルギーを効率よく徴するための栄養素でダイエット効果あり!
- 皮膚炎、関節炎などの炎症を抑える効果も。
- 馬肉の与え方と注意点
- 生肉は食用の冷凍処理されたものを使う。
- ジャーキーや缶詰、ふりかけはご褒美や少量のトッピングに最適。
- 馬肉を使ったおすすめレシピ
- 取り分けもできる馬肉を使った簡単ミートソースがおすすめ!
愛犬の健康状態や好みに合わせて、毎日の食事や特別なご褒美に馬肉を取り入れてみてくださいね。